白い巨塔といえば総回診のシーンが見所です。男なら誰しも一度は先頭に立ってみたいものですが…
実際の大学病院であんなことやるの?
という疑問が湧いてきます。実際に確かめるために入院…はできないので、某私立大学病院の勤務医に、実際の教授総回診についてインタビューをしてみました!
白い巨塔みたいな総回診とは
- 教授が先頭に立って
- 廊下いっぱいに
- ぞろぞろと部下と看護師を連れ
- 患者さんを診て回る
という権力の象徴のようなイベントです。
かなり仰々しく本当にこんなのあるのか?って気になりますよね。
ということで早速教授総回診について深掘りしていきましょう!
教授総回診は本当にあるの?
教授総回診というものは本当にあります。
病院によると思いますが、インタビュー先の病院では毎週決められた曜日に行われています。
具体的な部分は違うにせよ、大学病院であればどこの病院でも基本的に教授総回診はあるはずだということ。
さて、教授総回診は本当にあるんですが…実際の総回診は白い巨塔での総回診みたいな感じで行われているのか…
ということで実際の現場で働く医者の友人にインタビューを行いました!
実際の教授総回診は白い巨塔みたいな感じなの?
実際に某私立大学病院に勤務するK君にインタビューを行いました。
彼は毎週の総回診について回っているため、リアルな視点で情報をお届け出来るかと思います!
インタビュー内容はあくまでも彼が勤めている病院におけるものであり、全ての大学病院にあてはまるものではありません。
①総回診の先頭を歩くのは教授なの?
「先頭は教授、看護師長、そして病棟医長が歩いているよ。」
先頭はやはり教授が歩いているようです!ただし1人がぞろぞろと人を従えているわけではなく、看護師長や病棟医長も先頭を歩いているそう。
病棟医長や看護師長は案内役のような感じだそうです。また、看護師長の都合がつかなかったりすると、他の看護師が代役を務めることもあるんだとか。
②廊下いっぱいに広がると邪魔じゃない?
「広がらないように注意はしている。」
ドラマでは思いっきり広がって歩いていますが、患者さんの邪魔になるといけないので、廊下いっぱいに広がらないように注意して歩いているそうです。
そりゃそうですよね。
また、実際の教授総回診はドラマほど仰々しくはないとのこと。
③教授総回診はあんなに大勢でやるの?
「医局の人数にもよるけど、15人位かな。一応医局の人間全員で回ることになっている。」
医局の人数が多ければ、白い巨塔ばりの大人数で教授総回診を行うこともあるようです。
少なければもう少し少ないんですが…ちなみに医者だけではなく、医学部生も総回診についてまわるみたいですね。
④准教授以下の階段ダッシュはあるの?
「あれはやりすぎ(笑)」
白い巨塔ではエレベーターから降りてくる教授を先回りしてお出迎えするため、准教授以下が階段をダッシュしてエレベーターの前に待機するシーンがあります。
実際はあんなに緊迫していないとか(笑)一緒にエレベーターに乗って移動したりしているそうです。
ただし教授によっては一緒にエレベーターに乗ると怒る人もいるかもしれないので、どんな人か見分ける必要があるみたいです!
普通の会社と同じですね。
⑤「○○教授の総回診です」というアナウンスは?
「アナウンスは基本ないけど、やる医局もある。」
財前教授の総回診です。というアナウンスが病棟に流れるシーンがありますが、あんなアナウンスは現実ではない…かと思いきや、医局によってはあるそうです。
教授総回診の前に一度ナースステーションで全員集まってから出発するというスタイルで、
「じゃあ行こっか。」
くらいの感じで始まるとのこと。ただ、白い巨塔を意識して「○○教授の総回診です」という人がたまにいるらしく、その姿を想像するとちょっと和やかですよね(笑)
ただし教授総回診の時は基本的に患者さんが病室にいる必要があるため、アナウンスが流れる病院もあるそうです。
⑥「○○講座、教授総回診、宜しくお願い致します!」のセリフはあるの?
「ない(笑)」
今から宜しくお願いします程度の挨拶で、全員で頭を下げてカッチリした感じの挨拶はないそうです。
ただし、病院によってはあるのかもしれません。
⑦そもそも総回診って何のためにやるの?
「形式上やってるだけ(笑)でも学生にとっては勉強になるかも。」
医学部生も教授総回診についてまわり、教授から医学部生に対して質問が飛ぶことがあるそうです。
だから、医学部生にとっては勉強になるかもしれないとのこと。ただし初歩的な質問なので、勤務医にとっては得るものがないと言っていました(笑)
【教授総回診】現役勤務医への質問!番外編?
①大学病院内に学閥や派閥はあるのか?
「あるとこはあるのかもな~。うちはあんまりないかな。」
ゴリッゴリの政治的な派閥なんかはあまりないそうです。私大だからというのも関係あるかもしれません。
あまりドロドロしていない医局だと、政治的に動く必要性が薄いのかもしれませんね。
ただし上を狙う人は、政治的なものに敏感になるみたいですね。
これも普通の会社と同じです。
②財前みたいなギラギラした医者はいる?
「いるっちゃいる。どうしても教授になりたい人はいる。」
財前並にギラついているかどうかはともかく、教授の椅子を狙っている医者はいるようです。
というのも、大学病院に残ろうと思うと上を目指して教授の椅子を勝ち取らないと、地方に飛ばされてしまうからですね。
なので上を目指す人は大学病院に残る覚悟を決めている人が多いんだとか。
開業することを考えている人は、あまりギラついてないらしいです。
③里見みたいな正義感を貫く医者はいる?
「里見みたいな人は一握り。」
医者のお仕事も大変なのでQOL重視の人が多いそうです。そりゃそうですよね。医者だって人間ですから。
そのため「患者さんのために!」と身を捧げるレベルの里見的な人は、一握りだそう。でもいるにはいるんだとか。
白い巨塔ではQOL重視の人はいなさそうです。そういうテーマの作品じゃないからでしょう。
④白い巨塔みたいな総回診をしてみたい?
「したくない。そもそも教授になりたくない!」
大学病院の環境は結構キツイらしく、いつまでも大学病院に残るつもりはないとのこと。
教授になりたくない、というよりは教授になるようなタイミングまで大学病院に残りたくはないという感じですね。
⑤財前の「絶対に大丈夫です」発言について
「絶対にという発言はご法度。」
財前が「インフォームドコンセントだなんだと専門的な言葉を並べて患者に媚びを売るより、絶対に大丈夫という強い一言の方が、患者は安心するものだ。」と里見に言っていましたが、現実の医療現場において絶対に大丈夫という発言はご法度です。
裁判に発展したら洒落にならんということで、事前説明においてはきちんとリスクを説明します。
ただし、治療を不安がってどうしようもない患者さんには、大丈夫だよ~的な要素を強めに説明することもあるそうです。
逆に「治療すれば大丈夫なんでしょ~」とポジティブ過ぎる人には、リスクを強めに説明したりもするみたいです。
要はバランスですね。医療裁判に発展するのは絶対に避けたいという考えが根底にはあるようです。
まとめ:白い巨塔と実際の教授総回診について
- 白い巨塔の教授総回診は仰々しすぎる
- 他の大学の事情は不明
- 教授によっても違う
教授総回診は実際にもありますが、ドラマなので脚色されている部分もありそうです。
また、原作の白い巨塔は1965年に発売された小説です。当時は脚色なしのリアルを描いていたのかもしれません。時代が時代ですからね!
インタビューに答えてくれたK君、最後まで読んでくださった方、本当にありがとうございました!